私はここ数年、中国と日本を行き来しながら、AI が産業や仕事をどう変えるのかを見てきました。日本は米国や中国に比べて遅いと言われますが、IVS で見えたのは、政策と企業、研究と事業がそれぞれ違う速度で動く姿でした。
政策が先に動き、企業は導入先を見極めている
日本政府は、スタートアップと AI を経済政策だけでなく、産業競争力、経済安全保障、国家安全保障の文脈にも置き始めています。IVS では防衛、量子、宇宙、政府調達、AI が同じテーブルで語られていました。
一方、展示会場では、政府、大学、研究機関、スタートアップの存在感に比べ、大企業の意思決定者はまだ多くありませんでした。政策が先に走り、企業はどの業務から導入するかを見極めている段階に見えます。
日本企業が求めているのは、業務で使える AI
Sakana AI のように、世界的に存在感を持つ日本発 AI 企業も生まれています。ただ、現場でより強く感じたのは、Agent、Workflow、バックオフィス自動化など、企業の実務に AI を入れる動きでした。
日本企業が求めているのは、会話が上手な AI だけではありません。人手不足を補い、複雑な業務を安定して動かし、時間や費用を減らせる仕組みです。モデルの性能以上に、既存の仕事へどう組み込むかが問われています。
日中の違いは、新しい仕事の接点になり得る
IVS では、中国、台湾、韓国、インドなどから来たチームも多く見かけました。すでに検証された AI SaaS、スマートハードウェア、自動化プロダクトを持ち込み、日本企業のリアルな課題に入り込もうとしています。
中国企業は技術を素早く製品にし、サプライチェーンへ広げることに慣れています。日本企業には、製造、素材、ロボット、精密機器、品質管理、サービスで長年蓄積してきた知識があります。互いの得意分野を具体的な顧客課題の上で組み合わせられるかが、次の機会を左右します。
公開前に確認した主な資料
- 日本政府の「スタートアップ育成 5 か年計画」と関連する改訂アクションプラン。
- 首相官邸、防衛省、IVS 2026 公式発表に掲載された登壇・メッセージ情報。
- Sakana AI、LayerX、PKSHA Technology などの公式発表と製品資料。
中国語で発表した文章をもとに、日本語向けに再構成しました。